長年使い込んだロッドや大きな魚を釣り上げた竿、ちょっと手荒に扱っちゃったルアーロッドのガイドがポキっと折れてしまったことはないでしょうか。
そういうロッドをどうするかの選択肢としては
くらいかなと思います。
1.保証期間内なら保証修理(まあまあ高め)
ロッドやメーカーによっても異なりますが、保証書があって、保証期間も切れていないのであれば、一定の免責金額を払えばメーカー保証で修理してもらえます。
でもだいたいは期間が短く、しかもそれなりの金額することが多いですね。
その金額払ってまでは…安いロッドに買い替えるか…?ってなることもw
2.メーカーに修理に出す(高め)
これも1.と同じようなものですが、保証が切れている場合はさらに高額になるのがほとんど。
3.折れた部分のピースを部品注文(普通)
マルチピースのロッドで、かつ現行モデルか部品注文可能モデルの場合はネットや釣具屋さんで純正の部品を注文することができます。これもロッドやメーカーによって異なるのでご確認ください。
修理よりは、必要な部品、この場合はガイドが折れたピースだけを注文するほうが安い可能性も。
4.釣具屋さんに修理してもらう(ちょい安め)
これが割と手軽で安く済むかもしれない方法。だいたい釣具屋さんは釣り具の修理もやっているのでリールやロッドが壊れた時は一度行きつけの釣具屋さんに聞いてみるのがいいかも。
お店によって、対応可能かどうかや、値段は変わると思います。
5.自分で修理する(安い!)←今回はコレ!
修理の経験があって道具が手元にあったり、失敗しなければ、一番安く済む方法ですw
かかるのは部品代と修理に必要な道具代のみ。うまくいけば格安で修理できます。
今回私はこれを選択。特に経験があるわけではないですがw、なんとなくやってみたかったのと、調べてみるとそんなに難しくなさそうだったので。やったことがあるのは↓これくらい。
↑リールはちょこちょこ分解して注油して遊んでますw
6. 買い替えるor処分する
もうかなり長い間使ってきてほかの部分もくたびれてきていたり、劣化してきてそろそろかな…と言う場合は買い替えるのも手ですね。
ということで、ロッドのガイド修理に必要なもの、手順などをこれから紹介していきます。
素人作業なので、参考程度にしてください。
ガイドが折れたロッド
今回ガイドが折れたのはアブガルシアのワールドモンスターというロッド。
ロッドの詳細は↑をぜひ。かなりパワーのあるロッドなのですが、いろんな人のレビューを見ていると若干耐久性に難あり?なロッドですw
ある程度太いラインを使う前提なのに、なぜかマイクロガイドというかなり径の小さいガイドが採用されていて、これそのうち折れるんじゃないかな…と思ってはいましたが、4年目にしてポロっと一つ折れてしまいましたw
折れたのはティップの第一ピースの4番目のガイド。
ダブルフットガイドでもないので、軽い感じでふにゃ…ポロっ…って取れましたw
ただロッド自体折れたりとかは今のところないので、ガイドを直せばまだまだ使える!ということで今回自分で修理してみることにしました。
ガイド修理に必要なもの
ではガイドを修理するために必要な道具を。
必要なものは修理するロッド以外は右から
です。あとはエポキシのコーティングを塗るための小筆があると便利。
カッター
これは修理する部分のコーティングやスレッドを剥がすために使います。
家にあるものや安いので十分です。
ライターかドライヤー
剝がす部分のコーティングをライターかドライヤーで温めると剥がれやすくなります。
あと新しくガイドを付けた後のエポキシの硬化を早めるためにも使えます。その場合はドライヤーの方がいいです。
これも家にあるものでオッケー。
新しいガイド
これは注文したものや純正のガイドを用意します。
今回はこのFUJIのベイト用のガイドセットを使用しました。
あまり他に無かったので…
若干ガイド径が大きくなりますがそこは今回は妥協します。きっちり仕上げたい場合は純正の部品注文がいいと思います。
それかFUJIのガイドであればサイズが分けられているので測って同じ径のものを探して注文。
こんな感じでロッドビルディング用のセットなので、6,7ftのロッド1本分のガイドが入っています。
あとで少しお見せしますが、一緒に入っているガイドブックもとてもありがたい。
今回の場合はスペアもあることになるので最悪失敗しても安心w
スレッド(補修糸)
これはガイドを固定するための細い糸です。ただ固定するだけなら基本の黒の細糸のみで大丈夫です。
飾り巻きなど色を入れたい場合は必要な色の糸も別で用意します。
後ほど写真もありますが、今回はベースの黒と金、赤を用意しました。
かなりゴツイ、太い竿でなければ極細がおすすめです。
こんな感じのスレッドの欲しい色を探して用意します。
100mもいらないから20mとかで100円くらいで売ってほしい…
基本私は手巻きですが、きっちり、ぴっちり綺麗に巻きたいなら
↑こういうボビンがあると綺麗にスレッドを巻けるみたいです。
べつにしょっちゅう使う訳じゃないし自分しか基本使わないので私はあまり必要と感じたことはありません。なくてもできます。
瞬間接着剤
これはガイドを仮固定する時にごく少量使います。
マスキングテープとかでも代用できるのでなくても工夫次第で何とでもなります。
マスキングテープはスレッドの仮固定にも使うのであると何かと便利です。なければセロテープでも。
エポキシ接着剤
これはガイドをスレッドで固定した後、上からコーティングするために使います。
今回はダイソーのクリアエポキシ強力接着剤を使いました。
A液・B液を同量混ぜて使うものでちょっとシビアなところもあるので、今から買うなら↑のようなこういう作業向けに出ているものがおすすめです。量を測れる道具も付いています。
でも私はいつも百均で済ませてしまいますw
高いやつの方が時間が経っても黄色っぽく劣化しにくかったりします。ここは予算と相談ですね。
細かい道具
あとはコーティングする時の筆や、小さいガイドの場合はピンセットなどもあると助かります。
接着剤に使うので使い捨てになるため、こういう複数本セットのやつがおすすめ。百均にもあります。
ピンセット。これも百均にあるかな。
必要な道具はこんな感じ。
結構こまごましたのが多いですが、一番高いのはおそらくガイド。
あとは家にあるものや百均で買えるものは百均で揃えると、ガイド+数百円~千円ちょっとでいけると思います。
なのでピースまるごと交換、とかよりは、はるかに安く仕上がります。
ではこれから修理していきましょう!
ガイド修理方法
➀下地処理
まず折れた箇所のガイドの残りとコーティング、スレッドをすべて剥がします。
最初にドライヤーやライターで温めてからやると剥がれやすくなります。
ライターの場合は火を近づけ過ぎないように注意してください。炎のふちで温めるくらいで十分です。ベースのロッド、ブランクスを痛めないように慎重に。
そのあとカッターで少しずつコーティングを削っていきます。
一気に削ろうとはせずに少しずつ。カッターで鉛筆を削るような感覚で、あれをもっと少しずつ慎重にやる感じ。これもブランクスを傷つけないように。
少しずつ削っていくと、このように巻いてあるスレッドまで到達して、ポロポロ剥がれてきます。
ここまでくるとあともう一歩!
もう地肌が近いのでより慎重に剥がしていって、サンドペーパーなどで軽く表面を整えてやると
こんな感じにつるんとなります。
これで下地処理は完了。あとはここに新しいガイドを取り付けていきます。
②下巻き
ガイドを取り付ける位置を決めてマーキングしてから、そこに先に補修糸を下巻きします。
これはしてもしなくてもいいそうですが、下巻きすると少しガイドを付けやすくなるのと、ロッド本体にかかる負荷が減るそうです。今回は色付きのラインも入れたかったので下巻きしてみることに。
これからスレッドを巻いていきますが、巻きながら写真を撮るのは無理だったのでw、こちらの図を参考にしてください。購入したガイドセットに入っていたものです。
最初の糸の止め方さえできれば、あとは巻いていくだけなので割と簡単です。
あと、巻き始める前に、わかりにくい写真で申し訳ないですが、ナイロンやフロロの1号とか2号の細いラインでスレッドを最後に抜くための抜き糸の輪っかを作っておきます。
上の手順画像の⑦~⑨あたりで使うものです。
もともと赤と金のラインが入っているので、今回できるだけこれに近づけるために赤と金のスレッドも準備しました。
で、わかりにくいですがこれがまず赤のスレッドを巻いて仮止めしているところです。
このあと続けて黒の補修糸を巻いていきます。
これが赤と黒で下巻きを終えたところです。
一番難しいのは巻き始めだと思います。指で押さえながらずらしていって…言葉ではなかなか…w
でも普段釣りをする時に針に糸を結んだり、PEとリーダーのノットを組んだりしていると思うので、その延長のような感じでやれば多分いけると思います。
あとは隙間がないように巻いていって、終わりが近づいてきたら最後の何周か抜き糸を挟んで一緒に巻き込んで、最後に糸の端を抜き糸の穴に通して抜き糸を引っこ抜けばオッケー。
ちょっとくらいの隙間であればドライバーなどの棒でグリグリすれば隙間が埋まってきれいになります。
それでも埋まらないレベルの隙間であればやり直し。接着剤付けるまでは何回でもやり直しがきくので練習がてら下巻きしてみるのがいいかもしれません。
で、下巻きがきれいにできたら、いったんそれをエポキシで薄くコーティングして固めてしまいます。
薄くでいいので使うのはちょっとだけ。
説明書きを読んで、A、B両方同じ量を必ず混ぜて使ってください。
スポイトとかで計ると完璧。私はそこまでしないですがw
筆で薄く塗って乾燥させたのがこれ。
エポキシは完全硬化するのに結構時間がかかるタイプの接着剤なので、ここまできたらいったん休憩です。
ものによっても違いますが、ダイソーのは触っても大丈夫なくらいに固まるのが3,40分くらいで、完全に固まるのは1日くらいです。ということで続きの作業は別の日に持ち越し。
③ガイドの仮固定
下巻きのコーティングが完全に固まったら、ガイドを瞬間接着剤で仮固定します。
瞬間接着剤はガイドの足にほんのちょこっと付けるだけなので、少量のものやハケ付きのものが使いやすいです。
ガイドの向き、位置にズレがないかしっかりチェックして必要ならマーキングしてペタッと。
ペタリ。仮固定なのですぐにポロっと取れたりしなければ大丈夫です。
ガイドが大きいものであればマスキングテープで仮固定でもオッケー。
④スレッド巻き
いよいよガイドの足をスレッドで巻き付けて本格的に固定していきます。巻き方は下巻きと同じ。
今度は金のラインを入れてから黒を巻き巻き…
巻き終わり。これで赤と金のラインが入りました。
元と同じように金をダブルラインにしようかと思いましたが、めんどくさいのでやめましたw
⑤コーティング仕上げ
あとはこれをエポキシでコーティングして完成!
ガイドが小さい場合はガイドリングに接着剤が付いてしまわないように養生したほうがいいです。
ここからはさっきの下巻きの時とは違い、結構厚塗りしていきます。でもボタボタ垂れるくらいは塗り過ぎなので、ほかのガイドがどれくらいの厚さでコーティングされているかを見ながら、何回かに分けて厚塗りするときれいに仕上がります。
まず1回目。
ずっと同じ向きに置いていると、ある程度固まるまではじわーっと垂れ下がってきてしまうので、そうならない程度に固まるまで手でくるくるゆっくり回してあげます。
数十分はかかるので地味に大変w
↑こういうロッド置いとけばくるくる回してくれるマシンがあればめちゃくちゃ楽だと思いますw
でもロッドビルダーでもないのでわざわざ…ねぇ…?w高いし…
こういう作業ってお金かけようと思えばどこまでも、って感じですよね…でもそれだと元々の安く仕上げようという目的がどっかいっちゃう…
まぁ趣味なので人それぞれだとは思いますが。お金かけるならプロに頼むかな…w
ということで完全に固まるのを待って、また塗って、というのを繰り返します。
乾燥させるときに、ドライヤーで温めてあげると固まるのを早めることができます。ただ熱で接着剤がサラサラになるので垂らさないように注意してください。
またエポキシを混ぜた時に泡がたくさん入った時も、温めてあげると泡が抜けてきれいに仕上がります。
3回塗りで仕上げたのがこちら。
まあまあ初めてにしては綺麗にできたかな、と思います。
↑ビフォー
↑アフター
遠目で見ればほぼわからない!w
金のラインが1本か2本かで見分けられますね。
もともとアブガルシアのロッドはこの辺の仕上げが若干雑な時があるのでw、余計に目立ちません。
このロッドは普段からあまり出番がないので、実釣に耐えるかどうかの検証は先になりそうですが、まあ大丈夫じゃないかな、と思います。
折れたらまた付け直しますw
やってみて
作業は糸巻きさえきれいにできれば、あとは難しい部分は無いので、割と難易度の低い補修作業じゃないかな、と感じました。
穂先のトップガイドの修理だったり、普段から釣りで針結びとかノットを組んでいる方であれば普通にできると思います。
マルチピースのロッドのガイドが折れた時はまた自分で直せばいいかな、と思えるようになりました。
スレッドも大量に余ってますし…w
ただそれなりに時間がかかる作業ではあるので、暇がある時じゃないと、とは感じます。
(ほぼエポキシの乾燥待ち)
1日で完成!という訳にはいかないので、急ぎで使いたい場合は厳しいですね…
まあでもメーカーに送って直してもらうよりは早いですが。
釣具屋さんに修理お願いしたら結構早いんですかね?
ちなみに今回この作業をするにあたって
↑のサイトをめちゃくちゃ参考にさせてもらいました。
私なんかよりすごいわかりやすく細かい所まで説明してくれているのでぜひ。
結構楽しい作業だったので、雨ばっかりであんまり釣りに行けない時期とかにまとめてやってしまう、というのもアリかもです。
飾り巻きとかも綺麗に巻けるようになったらロッドビルディングにも興味が出たり出なかったり…?w
ではでは。
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